民法第901条 ― 代襲相続人の相続分
条文の要点を整理すると次のようになります。
- 子どもが親より先に亡くなっている場合、その子ども(つまり孫)が代わりに相続人となります。このとき孫の相続分は、本来その親(亡くなった子ども)が受け取るはずだった取り分と同じになります。
- 代襲相続人が複数いる場合は、前条(第900条)のルールに従って等分します。
- この仕組みは、兄弟姉妹が亡くなっている場合に、その子(甥や姪)が相続するケースにも準用されます。
具体例で考える
- 例1:父が亡くなり、相続人は母と子ども2人のはずでしたが、そのうち1人の子どもがすでに死亡していた場合。
→ 亡くなった子どもに孫がいれば、その孫が代襲相続人となり、親が受け取るはずだった相続分を引き継ぎます。 - 例2:父が亡くなり、相続人は母と子ども1人でしたが、その子どももすでに亡くなっていて、孫が3人いる場合。
→ 子どもが受けるはずだった相続分を孫3人が等分して相続します。 - 例3:独身の人が亡くなり、兄弟姉妹が相続人のはずだったが、その兄弟の1人がすでに亡くなっていた場合。
→ その兄弟の子(甥や姪)が代襲して相続分を引き継ぎます。
なぜこういう仕組みなのか
代襲相続は、血筋を大切にする考え方に基づいています。もし子どもが親より早く亡くなっていたとしても、その子ども(孫やひ孫)がいるなら、その家系の取り分を守るべきだ、という発想です。
ポイントのおさらい
- 代襲相続人は、亡くなった相続人が受け取るはずだった取り分をそのまま承継する
- 代襲相続人が複数いれば第900条のルールに従い等分する
- この仕組みは孫だけでなく甥や姪にも及ぶ場合がある
この第901条を理解しておくと、家系が複雑になったときの相続分を正しく把握できます。実際の相続相談でも「孫や甥姪の取り分がどうなるのか」という質問はよく出るので、とても実務的に重要な条文です。