2025.9.7 相続
民法第1042条 ー 相続における遺留分の帰属と割合の解説
民法第1042条 ― 遺留分の割合
- 遺留分とは?
遺留分とは、被相続人(亡くなった人)が遺言などで財産を自由に処分できる権利を持っていても、一定の相続人に最低限保障される取り分のことです。
もし遺言で「全財産を友人に相続させる」と書かれていても、遺留分を持つ相続人は法律に基づいてその取り分を請求できます。
- 誰に遺留分があるか
遺留分が認められるのは、
- 配偶者
- 子ども(直系卑属)
- 親などの直系尊属
兄弟姉妹には遺留分は認められません。
- 遺留分の割合(条文の内容)
遺留分の割合は、相続人の構成によって次のように変わります。
- 相続人が直系尊属(親や祖父母)のみの場合 → 相続財産の3分の1
- それ以外の場合(配偶者や子どもがいる場合) → 相続財産の2分の1
つまり、子や配偶者がいるケースでは「相続財産の半分」が最低限、家族に確保されることになります。
- 具体例でイメージ
- 【例1】相続人が妻と子ども2人
→ 遺留分全体は財産の2分の1。これを法定相続分に応じて、妻と子で分け合う。 - 【例2】相続人が両親だけ(配偶者・子なし)
→ 遺留分は財産の3分の1。父と母で折半する。 - 【例3】相続人が兄弟姉妹だけ
→ 遺留分はゼロ。遺言で全財産を第三者に渡しても法律上問題ない。
- なぜこういう割合なのか
遺留分制度は、残された家族の生活を守るために設けられています。
特に配偶者や子は生活の基盤を支えてきた存在なので、全体の2分の1を家族に残すように制度化されています。
一方、親(直系尊属)のみが相続人となる場合は、生活保障の必要性が比較的低いと考えられるため、3分の1にとどめられています。
ポイントまとめ
- 遺留分は「最低限の取り分」を保障する制度
- 対象は配偶者・子・親のみ(兄弟姉妹は対象外)
- 割合は「親だけなら3分の1」「それ以外は2分の1」
- 遺留分があることで、遺言の自由と家族の生活保障のバランスが取られている
この条文は、実際に「遺言でほとんどの財産を特定の人に渡す」と指定された場合に、相続人が取り戻せる範囲を決める基準になります。相続トラブルでも中心的に使われるルールです。