2025.9.6 相続
相続人の欠格事由の解説
民法第891条 ― 相続人になれない人
民法第891条では「相続人になれない場合」について書かれています。相続というのは本来、家族や親族に財産を受け継がせる制度ですが、中にはその資格を失ってしまう行為があります。これを法律では「欠格事由」と呼びます。
具体的には、次のような場合です。
まず一番重いのは、故意に被相続人、つまり亡くなった人を殺したり、あるいは他の相続人を殺そうとした場合です。その結果、刑罰を受けた人は当然ながら相続人にはなれません。
次に、被相続人が殺害されたことを知りながら、それを告発も告訴もしなかった人も欠格になります。ただし、犯人が自分の配偶者や親のように特に近しい人であった場合や、告発できる判断力がなかった場合は例外です。
また、相続に関わる遺言を不正に操作しようとした人も資格を失います。具体的には、詐欺や脅しを使って遺言をさせたり、逆にさせないようにしたり、撤回や変更を妨げた場合などです。さらに、遺言書を偽造したり、書き換えたり、隠したり、破ってしまった場合も同じです。
この規定の意味
要するに「不正や犯罪によって相続に関わろうとする人には、そもそも相続人の資格を与えない」という考え方です。
もしこのルールがなかったら、財産を得るために危険な行動に出る人が現れてしまいかねません。そこで民法は、こうした人を厳しく排除しているのです。
身近なイメージで言うと
家族の財産をめぐって不正を働いた人にまで相続権を認めてしまったら、まじめに暮らしている家族が報われません。
民法第891条は「家族の公平」と「遺言の尊重」を守るために存在する、と理解すると分かりやすいと思います。