2025.9.7 相続
民法第1028条 ― 相続における配偶者居住権の存続期間の解説
民法第1030条 ― 配偶者居住権の存続期間
- 原則:配偶者が亡くなるまで(終身)
配偶者居住権は、原則として配偶者が生きている間は続きます。つまり、配偶者が亡くなるまで、自宅に無償で住み続けることができます。 - 例外:別段の定めがある場合
遺産分割協議や遺言、あるいは家庭裁判所の審判で「別の存続期間」が定められた場合は、その定めに従います。
たとえば「10年間だけ配偶者居住権を認める」といった形で期間を限定することも可能です。
具体例で考える
- 夫が亡くなり、自宅は夫名義。
- 妻は配偶者居住権を取得した。
この場合、原則として妻が亡くなるまで住み続けられます。
ただし、子どもたちとの遺産分割協議で「母が再婚するか10年経過したら終了」と取り決めることもできます。
この条文の意味
配偶者居住権は配偶者の生活を守ることを目的としているため、存続期間を「終身」とするのが原則です。
一方で、相続人同士の事情によって柔軟な合意を認めることで、公平性や実務上の調整も図れるようになっています。
ポイントのおさらい
- 配偶者居住権は原則として配偶者の終身まで続く
- 遺言や遺産分割協議、家庭裁判所の判断で期間を短く設定できる
- 配偶者の生活安定を守りつつ、相続人間で柔軟に調整できる制度
この条文を理解すると、配偶者居住権は「終身が原則だが、事情に応じて期限を決められる権利」だとイメージできます。実務では、不動産の価値や将来の相続を見据えて、終身か期間限定かを協議することが多いです。