2025.11.3 相続
債務の相続や葬儀費用の扱い、そして相続人の範囲について教えてください。
相続では、被相続人の財産だけでなく債務(借金など)も引き継ぐのが原則です。
しかし、必ずしもすべての債務を相続しなければならないわけではなく、次のような選択肢があります。
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相続放棄(民法第915条)
相続人としての地位を最初から放棄する方法です。被相続人の負債を引き継ぐことはなくなりますが、この手続は「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に家庭裁判所に申し立てる必要があります。 -
限定承認(民法第922条)
相続によって取得した財産の範囲内でのみ、被相続人の債務を弁済する方法です。
相続人が複数いる場合は、全員が共同で手続きを行う必要があります(民法第923条)。
また、相続に関連して注意が必要なのが債務の範囲と葬儀費用の扱いです。
被相続人が死亡時点で確実に負担していた債務のみが相続財産から差し引けるものであり、葬儀にかかる費用や墓石・墓地の購入費用は原則として相続債務に含まれません。
特に葬儀費用については、相続発生後に発生する支出であるため、葬儀会社と契約した人がその支払い義務を負う点に注意が必要です。
さらに、遺産分割を行う際にはすべての相続人を正確に把握することが欠かせません。
協議が成立するためには、法定相続人全員の参加と同意が必要です。前の配偶者との間に生まれた子どもや、認知された婚外子なども相続人に含まれる場合があるため、戸籍謄本などを確認し、相続人を確定させることが重要です。


